相続登記等が義務化されました

1 はじめに

本年4月1日、相続による不動産の所有権取得について、3年以内にその旨の登記申請を行うことを義務付ける、改正不動産登記法が施行されました。

 以下では、その改正の経緯と内容についてご説明します。

2 改正の経緯

 所有権の取得につき登記を備えるか否かは、本来、当事者の判断に委ねられています。そして、相続を原因とする所有権移転の場合であっても、これにより権利を取得した相続人は、相続登記等の申請義務を負わないものとされてきました。

 他方で、所有権移転は、原則として、登記なくして第三者に対抗することができないところ(民法177条)、法定相続分の取得については、判例上、登記を経ずとも第三者に対抗できるものと解されています。このことから、権利を取得した相続人においては、積極的に登記申請を行うインセンティブが働きにくく、特に、山林等の管理負担に見合うだけの利益の享受が期待できない不動産は、いわゆる「負財」として、未登記のまま何代にも亘り放置され、結果として所有者不明土地が発生し、土地の円滑な利用を妨げる事態が生じていました。さらに、所有者不明土地の増加による周辺環境の悪化や公共工事の阻害は、社会問題にまで発展しています。

 そこで、このような所有者不明土地の発生を防止するため、この度、不動産登記法が改正され、相続による不動産の所有権取得に限定して、登記申請義務が課されることとなったのです。

3 登記申請義務者

今般の改正により、新たに登記申請義務を課されたのは、①相続により所有権を取得した者、②遺贈により所有権を取得した「相続人」、③遺産分割により法定相続分を超える権利を取得した相続人です。

以下、順にご説明します。

⑴ ①相続により所有権を取得した者   まず、所有権の登記名義人について相続の開始があったとき、当該相続により所有

権を取得したことを知った者は、3年以内に登記申請を行わなければなりません(不動産登記法76条の2第1項前段)。3年の期間の起算日は、自己のために相続の開始があったことを知り、かつ、当該所有権を取得したことを知った日(被相続人が土地を所有していた事実に加えて、その地番等まで把握している必要があります。)とされています。

  そして、この申請義務を正当な理由なく怠った場合、10万円以下の過料に処されることとなります(不動産登記法164条)。

  なお、当該登記申請は、共同相続人のうちの誰かがこれを行えば足り、他の共同相続人は、重ねて共同相続登記を申請する義務を負いません(不動産登記法76条の2第3項)。

⑵ ②遺贈により所有権を取得した「相続人」

  つづいて、不動産登記法は、遺贈による所有権移転について、原則として登記申請義務を課していませんが、例外的に、「相続人」に対する遺贈に限り、登記申請義務を課しました(不動産登記法76条の2第1項後段)。

  受遺者が相続人である場合、当該受遺者が遺贈を放棄すれば、法定相続分の範囲内では、なお登記なくして権利取得を第三者に対抗できることから、上記2と同様の懸念が生じる、とされたためです。

  受遺者が正当な理由なく登記申請義務を怠れば、上記⑴と同様、10万円以下の過料が科されることとなります(不動産登記法164条)。

  他方で、死因贈与による所有権取得については、従前どおり、受贈者に登記申請義務は課せられていません。これは、死因贈与が受贈者の意思表示をも要する「契約」であり、長期に亘って登記が放置される事態が生じにくいと考えられるためです。

⑶ ③遺産分割により法定相続分を超える権利を取得した相続人

  上記⑴に述べたとおり、共同相続人のうちの誰かが共同相続登記を行えば、他の共同相続人は、重ねて相続登記を申請する義務を負いません(不動産登記法76条の2第3項)。もっとも、その後の遺産分割により、自身の法定相続分を超える権利を取得した相続人は、当該遺産分割の結果を踏まえた所有権移転登記の申請義務を、別途負うものとされています(不動産登記法76条の2第2項)。

  遺産分割により終局的な権利の帰属が確定した以上、その終局的な登記が速やかになされるのが、当該不動産の管理・処分に当たって便宜であり、ひいては、所有者不明土地の解消に寄与すると考えられるためです。

  なお、上記⑴及び⑵と同様、当該相続人が正当な理由なく登記申請義務を怠れば、10万円以下の過料が科せられることとなります(不動産登記法164条)。

4 過去の相続等への適用

 相続登記等の申請義務に係る改正不動産登記法は、本年4月1日以降に相続が開始した場合に適用されますが、上記2の趣旨(所有者不明土地発生の抑止)に照らせば、同日以前に発生した相続についても、同様の義務が課されるべきと考えられました。

 そこで、改正不動産登記法は、本年4月1日より前に相続の開始があった場合にも適用されることとされ、経過措置として、その場合の登記申請期間の起算日は、所有権の取得を知った日又は改正不動産登記法の施行日(令和6年4月1日)のいずれか遅い日とされました。

 したがって、本年4月1日より前に開始された相続であっても、今後、期間内に相続登記等がなされなければ、改正不動産登記法に基づき、過料の制裁が科されることとなりますので、注意が必要です。

5 相続登記の義務化に伴い見直された制度(相続人申告登記)

 他方で、共同相続登記を申請するためには、その前提として、法定相続人の範囲等を確定させなければならず、このために、相当の期間を要する場合も想定されます。

 そこで、相続人が相続登記の申請義務をより容易に履行することができるよう、手続上の負担を軽減するため、新たに「相続人申告登記」という制度が設けられました(不動産登記法76条の3第1項)。これにより、相続人は、登記官に対して、所有権の登記名義人について相続が開始した旨及び自らが当該所有権の登記名義人の相続人であることを申し出れば、その登記義務を履行したものとみなされます(不動産登記法76条の3第2項)。

6 おわりに

 以上のとおり、相続により不動産の所有権移転が生じた場合、今後は必ずその旨の登記を申請しなければなりません。

 運用が始まってまだ間もない制度ですので、今後、細かな点で実務的な問題が生じることも想定されるところです。本制度について、もしお困りごと等がありましたら、はあとふるサポーターズまでご相談ください。

介護に関する最新情報・障がい福祉ニュース

2024年度介護報酬改定・障がい福祉サービス等報酬改定では、多くのサービスにまたがる義務化措置や加算の見直しが行われました。また、報酬の適正化という観点からの改定も行われました。
今回は、介護保険最新情報において介護報酬改定に関するQ&Aも出ていることから以下のテーマを取り上げたいと思います。https://www.mhlw.go.jp/content/001227740.pdf

.高齢者虐待が発生していない場合においても、虐待の発生又はその再発を防止するための

 全ての措置(委員会の開催、指針の整備、研修の定期的な実施、担当者を置くこと)がなさ

 れていなければ減算の適用となるか?

減算の適用となります。  なお、全ての措置のうち一つでも講じられていなければ減算となりますのでご留意ください。

運営指導等で行政機関が把握した高齢者虐待防止措置が講じられていない事実が発見した日の属する月より過去の場合、遡及して当該減算を適用するのか?

過去に遡及して当該減算を適用することはできず、発見した日の属する月が「事実が生じた月」になります。

高齢者虐待防止措置未実施減算については、虐待の発生又はその再発を防止するための全ての措置がなされていない事実が生じた場合、「速やかに改善計画を都道府県知事に提出した後、事実が生じた月から3月後に改善計画に基づく改善状況を都道府県知事に報告することとし、事実が生じた月の翌月から改善が認められた月までの間につい て、入居者全員について所定単位数から減算することとする。」こととされているが、 施設・事業所から改善計画が提出されない限り、減算の措置を行うことはできないのか?

改善計画の提出の有無に関わらず、事実が生じた月の翌月から減算の措置を行って差し支えない。当該減算は、施設・事業所から改善計画が提出され、事実が生じた月から3か月以降に当該計画に基づく改善が認められた月まで継続する。

このほか、事業所・施設の規模の大小にかかわらず委員会や研修を定期的に開催するよう要請されております。

ポイント!!

[虐待防止委員会]①虐待防止委員会の組織体制図をつくりましょう。➁委員会を年1回以上開催し、議事録を作成しましょう。③委員会の開催後に協議内容と協議結果の通知文章を作成し、全従業員に周知しましょう。
[虐待防止の担当者決定]①虐待防止対策実施の担当者を決め、虐待防止の指針・組織体制図へ明記しましょう。
[虐待防止研修]①虐待防止委員会で年度初めに研修の予定(年1,2回以上)を組みましょう。➁研修の記録をしっかり残しましょう。

 当事務局では、「虐待防止研修」の開催も可能ですので、ご不明点やご相談がございましたら、当事務局までご連絡ください。

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【次回セミナーのお知らせ】

   開催日時 令和6年7月19日 18:00~20:00

開催場所 石田会計事務所にて対面で実施させていただきます。

(ご希望により、オンライン配信も行います。) 

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